7 QUESTIONS

Acqualagna

知る人ぞ知るイタリアのトリュフ名産地「アクアラーニャ」とは?

INTERVIEW



トリュフ大国イタリアの中部に位置する小さな町「アクアラーニャ(Acqualagna)」をご存知ですか?恵まれた気候と土壌で通年トリュフが自生する、まさにトリュフの聖地とも言えるこの地域で代々トリュフにたずさわってきたMUCCINI TARTUFI社代表のマッシモ・ムッチーニ氏に7つの質問をぶつけてみました。

Where?

アクアラーニャ Acqualagna

イタリア・マルケ州ペーザロ・エ・ウルビーノ県にある小さな町。年に3回開催されるトリュフフェアの時期は観光客が多く訪れる。トリュフミュージアムことMUSEO DEL TARTUFO DI ACQUALAGNAではアクアラーニャのトリュフに関する歴史や文化などを学ぶことができる。

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いつからトリュフにたずさわっていますか?

私たちの物語は、遡ること1960年代にウルバニア(アクアラーニャからほど近い小さな町)の小さな宿屋で、私の祖父ドメニコ・ロンギが近くで採れたトリュフの買い取りをしたことから始まります。この小さな会社は成長を続け、ドメニコの相続人であるラヴァルドに受け継がれ、イタリアやヨーロッパの一流レストランへトリュフを販売するサービスで知られるようになりました。

2008年には、より洗練された顧客をターゲットにした新しいブランド「MUCCINI」が誕生しました。今日、MUCCINIという名前は高品質のトリュフと切り離せない存在であり、歴史、伝統、情熱、そして文化を保証しています。伝統を大切にしつつ、独自の高級ガストロノミー製品を探し続けるMUCCINIは、細部までこだわりを持っています。すべての瓶は手作業でラベルが貼られ、熟練の職人技によって生まれる「手作りならではものづくり」を大切にしています。ムッチーニ家は、古代のレシピに基づく知識を伝え、トリュフを独自かつ貴重な特産品へと変えることを目指しています。

アクアラーニャのトリュフについて教えてください

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アクアラーニャは、マルケ州北部の海から約40キロに位置する人口5,000人ほどの小さな町で、昔からトリュフの研究と販売で非常に重要な役割を果たしてきました。中央アペニン山脈に位置し、トスカーナ州とウンブリア州という2つの地域と接しています。この丘陵地帯は豊かな植生に恵まれ、森にはさまざまな種類の木々が生い茂り、トリュフの成長を促しています。アクアラーニャで採れる白トリュフの特徴は他のイタリアの地域で見つかるものと同じですが、ここでは他の地域とは異なり、以下4種類すべてのトリュフが見つかり、およそ年間600トンのトリュフが収穫され、これはイタリア国内のトリュフ生産の約3分の2を占めています。

  • サマートリュフ(Tuber aestivum Vitt)

  • オータムトリュフ(Tuber uncinatum)

  • 白トリュフ(Magnatum pico)

  • ウィンター黒トリュフ(Tuber melanosporum)

                              各種トリュフの特徴はこちら

アクアラーニャの地形や、砂、砂岩、岩、粘土質などの多様な土壌、そして丘全体を覆う植物相が、形状と品質に優れたすべての種類のトリュフの成長に理想的な環境を作り出しています。

アクアラーニャの白トリュフ

年に3回行われるトリュフフェアは観光客で賑わう

トリュフを提供する際に最も重要なことを教えてください

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トリュフを採集した後の検品、選別はとても重要です。採集したトリュフの特徴を見極め、優れたトリュフを選別する必要があります。フレッシュトリュフとして販売する基準に満たないものは加工品に使用します。トリュフはそれぞれ、香り、形、サイズが異なります。黒トリュフは分類が簡単ですが、白トリュフはそうはいきません。収穫から味わうまでの時間が非常に短く、約7〜10日程度です。白トリュフで最も重要な点は、その香りとトリュフ内部の果肉の質感です。トリュフのかたちや見た目は、優れたトリュフを選ぶ際には最後に考慮するべきポイントです。

トリュフの形状は土壌によって決まります。干ばつや粘土質の土壌が硬い場合、トリュフは平坦または角ばった形で、完全な丸みを帯びないことがあります。一方で、柔らかいまたは砂質の土壌で育つと、形が丸みを帯び、完璧に近い形になる傾向があります。この形状の違いはトリュフの美味しさには影響を与えません

選ぶ際には、まず手に取って、鼻に近づけて香りを確かめます。次に、触覚で内部に欠陥がないかを確かめ、形状、色、最後にサイズを確認します。特に白トリュフは、できるだけ長期間保存するためには洗わない方が良いでしょう。土の大部分を取り除き、ブラシで掃除する必要があります。洗ってしまうと、トリュフが成長し、地中で保存されるために自然に形成された保護層が取り除かれてしまう可能性があるからです。これら全ての検品・選別プロセスが完了した後、トリュフは顧客の要望に応じて販売されます。

採れたてのトリュフをすばやく仕分け、検品、泥を取り除き選別していく作業風景。特に白トリュフの選別には細心の注意が必要。

アクアラーニャでのトリュフ採取に関するルールを教えてください

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トリュフ採取のルールと規則は非常に重要です。トリュフは、国が認定するライセンスを取得した人のみが採取できます。このライセンスを取得するには、所属する地域や市町村に申請し、試験に合格して資格を得る必要があります。

トリュフは一年中採取できるわけではなく、収穫期間は厳格なルールに従っています。法律で定められた期間外にトリュフを採取することは禁止されています。もし収穫カレンダーにない種類のトリュフがレストランのテーブルに出てきた場合、それはイタリア産のトリュフではなく、他国から輸入されたものである可能性が高いです。なぜなら、その種類のトリュフを採取および販売することは厳しく禁止されているからです。

白トリュフとオータムトリュフは10月1日から1月15日まで、ウィンター黒トリュフは12月1日から3月30日まで、サマートリュフは5月1日から9月15日まで収穫可能です。

採取のルールも明確で、トリュフハンターらは、禁止区域や保護区でないすべての開放された場所でトリュフを見つけに行くことができます。トリュフハンターはトリュフの採取場所をとても大切にしており、その場所は親から子へと受け継がれます。トリュフハンターのコミュニティ内では、互いへの尊重から、他のハンターが見つけた場所でトリュフを探すべきではないとされる「暗黙のルール」が存在します。

トリュフハンティング

温暖化が進んでいますが、昔と比べて白トリュフの採取時期や量に変化はありますか?

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環境の特性はトリュフの生成にとって重要な要素です。黒トリュフはトリュフ畑で栽培することができ、一定の量と質を保証できますが、白トリュフは自然のものだけで、栽培することができません。トリュフの量と質は気候に影響されます。

近年、気温の上昇や蒸し暑く雨の少ない夏の影響がトリュフの生産に確実に影響を与えています。白トリュフの成長プロセスを開始する胞子は、7月と8月に活動を始めます。この期間の降水量が平均を下回る場合、トリュフの生産は遅れ、質の高いトリュフを得るために数日間待たなければならなくなります。

このため、過去3〜4年の間、収穫が10月1日から始まっても、収穫量と品質は期待外れの結果に終わっています。最も良い時期は10月末から近づき、11月が量と質の両面で重要な生産の中心月となっています。かつて白トリュフの収穫が12月31日から1月12日までだった終期が、現在では1月15日から20日頃にまで延び、収穫シーズンが延長されています。

これらは気象サイクルによるものであるため、各年ごとに異なる可能性があります。これが白トリュフの特徴であり、中長期的な予測はできません。短期的にのみ予測が可能です。重要なのは、イタリア全土に広がる独自の微気候が、世界で最も希少かつ香り豊かな白トリュフを見つけられる環境を作り出していることです。

06

好きなトリュフの種類と、好きな食べ方を教えてください。

私のお気に入りのトリュフは間違いなく白トリュフです。ただし、必ずしも美しく丸い形である必要はありません。香りが良く、内部の果肉が完熟しており、ヘーゼルナッツ色をしていることが重要です。これらの特徴は、トリュフの最初のスライスを切ったときに初めてわかります。それが完全な形なのか、切り傷や欠けがあるのかが見えるのです。トリュフ業界の基本的なルールとして、「最高のものが常に最高とは限らない」とよく言われます。自然が生み出す不完全さが、トリュフ一つ一つをユニークにしているのです。

私が白トリュフを楽しむお気に入りの方法は、パンのブルスケッタの上に卵をのせ、白トリュフをたっぷりと削ってかけることです。そこから香りと風味が魔法のように広がり、とても素晴らしい味わいになります。

白トリュフブルスケッタ

あなたの将来の展望について教えてください。

07

トリュフの世界は常に進化しており、トリュフを加工し保存するためのより革新的な方法が求められています。特に、一年中いつでも加工品の生産にトリュフを使用できるようにトリュフの保存や加工方法の進化は重要と考えています。そのような進化によって、気候変動が収穫量に影響を与え季節がずれてもトリュフは常に消費者や愛好家の食卓で主役の座にあり続けることができるでしょう。

将来に向けて必要なことは、そのトリュフのトレーサビリティーの確立と産地の保証です。イタリア産のトリュフとして世界に販売されているものの中には、実際にはイタリア産ではないものも多くあります。人々に、フレッシュトリュフは季節限定で、法令で定められた採取スケジュールに従うものだと伝えることが重要です。このスケジュールに従ってこそ、イタリア産のトリュフであることを証明できるのです。

特に白トリュフは、イタリアのすべての地域に共通する特徴を持っています。アルバ産であろうとアクアラーニャ産であろうと、見た目や風味の違いを見つけるのは難しいでしょう。

これが私がトリュフ業界の未来に向けて伝えるべきメッセージだと思っています。

白トリュフとオータム黒トリュフ

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