Truffle description

トリュフって何?

動物に見つけてもらうために強い香りを放ち数千万年ものあいだ地球の生態系を支えてきた地下生菌の子実体!

トリュフは地下生菌の子実体でなんと5000万年以上前から存在しているといわれています。トリュフは菌糸と呼ばれる細い繊維状のものを土壌中に張り巡らせブナ、ハシバミ、オーク、マツ、ユーカリなどの樹木の根に巻きつけ寄生!寄生と聞くとちょっと怖いイメージがありますが、木はトリュフに光合成で作った糖類などの栄養分を与え、トリュフは木の根が届かないような土壌のすきま(特に地表の近く)に菌糸を広げ効率よく土壌の水分や養分を吸収し木に供給してあげるまさにウィンウィンの関係。こうして樹木とトリュフは数千万年の間、共生関係を結んできたのです。トリュフは地上性のキノコから進化し、胞子を空気中に放出し繁殖する方法ではなく地中に潜り動物たちの手をかりて繁殖する方法を選びました。よく知られていないだけで実は数百種もあるといわれるトリュフ。その中で人間のお口にあうものはごくわずかしかありませんが、人間が食べないトリュフも他の動物にとっては魅力的な芳香を放つ貴重な食材です。地中に隠れたトリュフは胞子が熟すと独特の芳香を放ち、多くの動物を誘います。イノシシやシカ、ネズミ、うさぎ、リス、ヒヒ、ミーアキャットや昆虫までもがトリュフを捕食し糞として排出された胞子は森の別の場所に堆積され新たな宿主を探し、またウィンウィンの関係を築きます。トリュフは樹木の成長を支えるだけでなく、食糧源としても多くの動物を支え、生態系でとても重要な役割を果たしています。

人間はいつからトリュフを食べてきたの?

トリュフと人間の歴史は古代にまでさかのぼります。砂塵舞うシリアの一画で発見された粘土板には紀元前18世紀のアムル人最後の王ジムリ・リムが役人らにトリュフの質について不満をもらす様子が記されています。植物学者テオプラストスは紀元前4〜3世紀に「植物誌」で「奇妙この上ない植物のひとつで秋に雷が多いほど大量に発生する」と記しています。驚いたことに古代より伝わるこの通説は最新の研究により「雷雨が起きるとトリュフの成長に大きく影響する硝酸塩が大量に増える」ことから科学的にも根拠があるとわかりました。

紀元1世紀に入ると古代ローマの学者・大プリニウスは「博物誌」においてトリュフをtuber(ラテン語でこぶの意味)と名付け、原産地はアフリカだと記しました。しかしながら古代に登場するトリュフは記されたその特徴から現在のトリュフと異なる香りも弱いテルフェジア属の通称・砂漠トリュフであったといわれています。当時有名な美食家アピシウスが書いたとされる「料理大全」でも記されている通り裕福な人々はトリュフを当時の高級品である胡椒などのスパイスと一緒にトーストしたり煮込むなどして食べていました。

ヨーロッパ産トリュフのはじまり

わたしたちが現在レストランなどで食べるトリュフは主にヨーロッパ種のトリュフです。

では、今日につながるヨーロッパ種トリュフが発見されたのはいつでしょう?

ローマ帝国が衰退した中世ヨーロッパは、多くの豚が家畜化されブタ飼いと共に森に入っていたとされるこの時代にヨーロッパ種のトリュフが発見されたと考えられています。ルネサンス期に入ると教会中心の中世的世界観を離れ様々な文化が花開き、人々は食にも喜びを求めるようになります。美食家でローマ教皇庁の職についていたプラティナが当時出版した「正しい快楽と健康について」にはイタリア・ウンブリア州のノルチャで雌豚を使ったトリュフ狩りの様子が書かれています。

香り高いトリュフはヨーロッパの王室や貴族で人気となり、義理の娘でフィレンツェの名家に生まれたカトリーヌ・ド・メディシスは故郷イタリアの白トリュフをフランスの王フランソワ1世に献上。王はその香りを気に入りフランス宮廷に白トリュフを広めたといいます。

truffle hunting pig
europe truffle history

トリュフは栽培できるの?

1808年ごろフランス人の農夫ジョゼフ・タロンは黒トリュフの栽培に世界で初めて成功し1855年パリ万国博覧会でオーギュスト・ルソーによりトリュフ栽培用の人工林トリュフィエールが発表されると、ヴォクリューズの県知事は、木を伐採し荒廃した土地にトリュフの感染苗木(トリュフの菌根を若木の根に摂取させます)を植えました。すると森林は再生し地面の保水性も改善、豊かな土壌を取り戻すことに成功、今ではフランスのトリュフ生産の中心地となっています。

現在、トリュフの栽培はイタリア、スペインなどのヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなど世界各地で行われています。ただし栽培されるトリュフは主に黒トリュフで、希少価値の高い白トリュフTuber magnatum) はいまだ栽培したものは市場に流通していません。

トリュフ農家さんによると、栽培したトリュフは野生のトリュフと比べても香りに遜色はなく見た目も同じ。ただし栽培したトリュフは障害の少ない柔らかい土壌で育つため外形が綺麗に丸くなる傾向があるといいます。野生のトリュフは様々な環境、土の状態によっていびつな形になったりものすごく大きなものが育ったりするそうです。

確かに野生でしか採れない白トリュフの形はとても変わったかたちをしているものが多いですね。

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